宇宙という言葉の定義は、地球、それを含む太陽系、それを含む銀河系―と、あらゆる天体の存在する空間、存在し得る限りのすべての物質を含む空間のことである。もし、宇宙の端というものが存在するとすると、それが端なのだから端の向こう側は宇宙ではない。しかし、定義より、それも宇宙であるという矛盾が生じるため、宇宙に端は存在し得ない。
地球上から見ることができる宇宙の大きさとは、我々人間が物理的に観測可能な宇宙の時空の最大範囲を指す。宇宙は膨張し続けているため、宇宙の大きさを表現するにはいくつかの単位がある。
地球から、人類が光を含む電磁波により観測可能な宇宙の果てとは、我々が観測できる光のうち、最も古い時代に光が放たれた空間を示す。この空間から光が放たれたとき、つまり約137億年前(宇宙の晴れ上がり直後)この空間は地球がある位置から地球を中心とする全方向に宇宙論的固有距離において約4000万光年離れたところにあった。そしてこの空間は当時地球の位置から光の数十倍の速度[1]で遠ざかっていた。この空間までの現在の距離である共動距離(Comoving distance)は、約470億光年[2]と推定されている。[3]宇宙の晴れ上がりの直後から約137億年の間に、宇宙は約1100倍程度膨張したと考えられる。この空間は現在、光速の約3.5倍の速度で地球から遠ざかっており、[4]かつ宇宙が生まれてから現在に至るまで常に超光速を保っている。つまり我々が現在電磁波によって観測できる天体の中には、その天体が生まれてから現在に至るまで常に超光速の後退速度となるものが存在する。
天体から放たれた光が地球にたどり着くまでの時間に光速をかけたものは光行距離(Light travel distance)とよばれる。[5]これは光が地球に届くまでの間に、光の旅した道のりを表す。光行距離では、電磁波により観測される宇宙[6]の果てから地球までの光の旅した道のりは約137億光年と推定される。これは光速に宇宙の年齢をかけたものだが、この値は先に述べた2つの距離(470億光年、4000万光年)と値が異なる。なぜならば、光が地球に届く間に宇宙が膨張し、そのため光の道のりが延び、また光を放った空間が遠ざかるからだ。つまり光行距離はある時刻における空間上の2点間の距離を指し示すものではない。天文学では光行距離を天体までの距離とみなすことが多いが、それは現在の天体までの距離や、天体が光を放ったときの天体までの距離を示すものではない。それはあくまで、我々に届く光が旅した道のりである。
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まとめると、今我々が見ることができる最も背後にみえる光は、約137億年前に約4000万光年離れた空間から放たれた光である。そしてその空間は現在470億光年先にあり、光は137億年かけて137億光年の道のりを旅してきたということである。わずか4000万光年の距離を光が進むのに137億年もの時間を費やしたのは宇宙の膨張が地球への接近を阻んだためである。これは、流れの速い川を上流へ向かう船がなかなか前に進めないことと似ている。また、宇宙の膨張は一般相対性理論の範疇であるため、膨張により地球を基点としたときの、地球から離れた場所にある光の速度が変化しても特殊相対性理論における「光速度不変の法則」と矛盾しない。
我々の観測可能な領域を超える宇宙は、共動距離的な意味の場合、インフレーション理論に基づき、より広大であろう(光年単位を用いても億・兆といった日常生活で用いる数では表現できず、1030光年等といった指数表記が必要な大きさ)と予想されているが、いまだその大きさが有限なのか無限なのかはわかっていない。
また光行距離的な意味では、137億光年以上の距離では宇宙の晴れ上がり以前となるため光が直進できず、地球への旅ができない。つまりそのような距離そのものが存在しないことになる。